細谷功『具体と抽象』dZERO 2014年

トーストマスターズクラブは、パブリックスピーチを通じてコミュニケーションやリーダーシップを学ぶ非営利教育団体です。
スピーチを学ぶにあたって、それを教えてくれる先生はいません。その学びを担保するのが、Pathwaysという所定の教育プログラムがあることと、論評スピーチです。

論評スピーチは、5~7分程度の時間で披露されたスピーチを聴いて、

「あなたのスピーチは構成が整理されていてわかりやすかった」

「声色が多彩で生き生きとしたスピーチだった」とか、

「あなたのスピーチのここの部分がわかりにくく感じた、もっと丁寧に表現するとあなたのスピーチはより伝わると思う」 など、

次のスピーチがよりよいものになるように後押しする、2~3分程度のスピーチです。

私は前年度(2022年7月~2023年6月)、トーストマスターズの日本支部(District76)が開催した日本語論評コンテストに挑戦しました。

 

論評の練習のために所属クラブや他のクラブにおじゃまして、たくさんのスピーチを聴きました。その中で、

「このスピーチのこの部分もうちょっと簡略化できるよね」とか

「このスピーチの心情描写もう少し丁寧に述べるといいよね」とか思ったり、

ある会員さんの論評において「その知識がない人が聴いたとき道に迷う」という表現を聴いて印象に残ったり…。

 

5~7分と時間が限られた中で、スピーカーが伝えたいメッセージを聴衆に効果的に届けるために、抽象的に簡略化できるところと、丁寧に具体的に述べないと伝わらないところを見極めるのに読んでみたのが、

細谷功『具体と抽象』dZERO 2014年

 

トーストマスターズ日本支部界隈では、トーストマスターズ会員で英語落語家でもある喜餅さんが紹介しています。

youtu.be

「具体」と「抽象」という概念に対して、一般的に「具体=わかりやすい」「抽象=わかりにくい」と認知され、例えば「この表現抽象的でわかりにくいから具体的に説明して」というふうに「抽象」をやや否定的に見る風潮があります。

本書は、「抽象」という言葉に対して正当な評価を与え、「市民権」を取り戻すことを目的にしています。

著者は、「抽象化を制するものは思考を制す」、具体と抽象の行き来を意識することで、間違いなく世界が変わってくる、と主張しています。


個別具体の事象に拘泥すると脳みそがパンクする、個別具体の各事象の構造を捉えたり、共通点を見出して一つのものとして捉えたり、ということができると、脳のパフォーマンスが上がって、高次の思考ができるだろう…、とイメージとして捉えました。

 

・スピーチを作るとき、スピーカーが言いたい!とこだわってしまうことが聴衆にとっては些末でどうでもいいことがある、そのギャップを是正する。
・クラブの運営やイベントの企画における議論で、認識合わせをする。
・少人数で答えを出した方がいいのか、多人数で議論を繰り返して意志決定をするのがいいのかを見極める。
などで、有効な思考法のように思いました。

 

最後に、本書の読書記録を書いたカフェを紹介します。
大阪府吹田市にあるzutto coffeeさん。

tabelog.com


定番のフレンチトーストやキーマカレーもおいしそうなのですが、私は果物の旬に合わせて出る限定メニューを楽しんでいます。

写真は「りんごのフレンチトースト」、毎年11月ごろから3月まで提供される期間限定メニューです。
美味しいパンを使用したフレンチトーストにアイスクリームやホイップクリームの甘味、品種のことなるりんごの酸味の無限の掛け合わせ…。どれも美味しくて幸せを感じました。